【登場人物】
・花子さん:ノリ重視、バズに興味津々
・人体模型:理屈派、データ厨気味

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【SE:放課後の廊下/静けさ】

花子:ねぇ、バズりたい。

人体模型:唐突だね。

花子:だってさっきの写真、めっちゃ伸びてたのよ!?
   私ももっとちゃんとやれば——

人体模型:分析しようか。

花子:出た、分析。

人体模型:バズには再現性がある。偶然ではない。

花子:ほんとぉ?

人体模型:まず要素を分解する。
     「わかりやすさ」「意外性」「共有したくなる恐怖」

花子:最後ちょっと怖いわね。

人体模型:怪異だからね。

花子:で、どうすればいいの?

人体模型:まず“わかりやすさ”。
     君はトイレの花子さん。これは強い。

花子:でしょでしょ。

人体模型:次に“意外性”。
     普段と違う行動をする。

花子:例えば?

人体模型:……自撮りする花子。

花子:いやそれはちょっと。

人体模型:では“共有したくなる恐怖”。
     誰でも真似できる行動にする。

花子:あ〜、やりたくなっちゃうやつね。

人体模型:そう。「3回ノックすると——」の強化版だ。

花子:もうあるじゃないそれ。

人体模型:だから“追加要素”を入れる。

花子:追加要素?

人体模型:……「3回ノックして、名前を呼ぶと——」

花子:うんうん。

人体模型:「既読がつく」

花子:え。

人体模型:スマホに。

花子:いや怖っ!!

人体模型:現代的だろう?

花子:嫌すぎるでしょそれ!

人体模型:だが拡散される。

花子:確かに話題にはなるけど!

【SE:遠くから女子生徒の声】

女子生徒の声:ねぇこの噂知ってる?
       トイレで3回ノックして名前呼ぶと既読つくんだって!

花子:はやっ!?

人体模型:仕事が早いね、現代。

女子生徒:やってみよ!

花子:ちょっと待って準備が——

【SE:トントントン】

女子生徒:花子さーん!

【SE:スマホの通知音「ピコン」】

女子生徒:え、きた!既読ついた!!

別の声:うそでしょ!?

【SE:ざわざわ→走り去る】

【静寂】

花子:……今の、どうやったの?

人体模型:事前に通知音を連動させておいた。

花子:なにそれ用意周到。

人体模型:これで拡散される。

花子:……でもさ。

人体模型:なんだい。

花子:既読つくだけって、ちょっと地味じゃない?

人体模型:……。

花子:返信とか来ないの?

人体模型:そこまでやると労働量が増える。

花子:ブラックじゃん。

人体模型:怪異も働き方改革が必要だ。

花子:いやそこで現実的になるな。

【SE:スマホ通知音(遠く)】

女子生徒の声:え、返信きた人いるらしいよ!?

別の声:こわっ!?

花子:え?

人体模型:……。

花子:ねぇ、今の設定にないよね?

人体模型:ないね。

花子:じゃあ誰が返信してんの?

人体模型:……さぁ。

【少し間】

花子:……ねぇこれ、バズってる場合じゃなくない?

人体模型:うん。

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【オチ後】

【SE:トントントン】

声:花子さん。

【SE:スマホ通知音「ピコン」】

花子:……どうする?

人体模型:返信、する?

花子:……やめとこ。

【SE:もう一度通知音「ピコン」】

花子:勝手に会話進んでない!?

【フェードアウト】