【登場人物】
・花子さん:明るく世話焼き、生活力が高い
・骨格標本:ポジティブで軽いノリ、ちょっと雑

---

【SE:放課後の校内/静かな廊下/遠くの部活の音】

【SE:ほうきで掃く音 シャッシャッ】

花子:はい、そこホコリ残ってる!

骨格標本:えぇ〜? ちゃんとやってるって〜。

【SE:カタカタ…(骨が動く音)】

花子:全然ちゃんとじゃない!
   関節のとこ、めっちゃ詰まってるじゃないの!

骨格標本:あーそこね。構造上しょうがなくない?

花子:しょうがなくない!
   ほら、腕上げて。……はい、ここ!

【SE:ポンポンと払う音】

骨格標本:おお〜軽くなった。可動域ひろがったわ。

花子:でしょ? 日々のメンテナンスが大事なのよ。

骨格標本:さすがトイレ担当、掃除ガチ勢。

花子:トイレ舐めないでくれる?
   あそこ、学校で一番“差が出る場所”なんだから。

骨格標本:なんの差だよ。

花子:使う人の“心の余裕”。

骨格標本:深いようでよくわかんないな。

【少し間】

骨格標本:でもさぁ、なんで俺ら掃除してんの?

花子:え?

骨格標本:いやだって、誰も見てないじゃん。
     人間がやる仕事でしょ、これ。

花子:……まぁ、そうだけど。

骨格標本:俺ら怪異だよ?
     もっとこう、怖がらせるとかさ。

花子:怖がらせたあと、床ベタベタのまま帰るの?

骨格標本:あ……それはちょっとやだ。

花子:でしょ?
   自分の“現場”くらい綺麗にしときなさいよ。

骨格標本:現場って言うなよ、職人みたいでかっこいいじゃん。

花子:かっこいいでしょ。

骨格標本:認めるんだ。

【SE:バケツの水音】

花子:はい、モップ。

骨格標本:え〜まだやるの〜?

花子:床は最後に水拭き!基本でしょ!

骨格標本:俺、骨だから水分いらないんだけど。

花子:床がいるの!

【SE:モップがけの音】

骨格標本:……なんかさ。

花子:なによ。

骨格標本:俺らが掃除してるって、人間知らないんだよな。

花子:知らなくていいのよ、別に。

骨格標本:ちょっとくらい褒められてもよくない?

花子:……ふふ。

骨格標本:なに笑ってんの。

花子:明日さ、来てみなさいよ。

骨格標本:?

花子:きっと誰かが言うわよ。
   「今日なんか綺麗じゃない?」って。

骨格標本:……それ、俺らのおかげ?

花子:そうよ。

骨格標本:でも俺らのことは知らない。

花子:うん。

骨格標本:……なんかそれ、いいな。

花子:でしょ?

【少し間】

【SE:遠くで足音(人が近づく)】

花子:あ、来る!

骨格標本:やば、戻るか!

【SE:ガタガタッ(元の位置に戻る)】

【静寂】

【SE:教室のドアが開く音】

女子生徒の声:あれ?なんか床きれいじゃない?

別の声:ほんとだ〜。誰かやったのかな?

女子生徒:ラッキー、じゃあ早く帰ろ!

【足音去る】

【静寂】

骨格標本:(小声)……聞いた?

花子:(小声)聞いた。

骨格標本:(小声)ラッキーだって。

花子:(小声)ふふ、そういうことよ。

---

【オチ後】

骨格標本:……なぁ花子。

花子:なに?

骨格標本:明日もやる?

花子:当たり前でしょ。
   次は理科室もやるわよ。

骨格標本:え、範囲広がってない?

花子:ついでに音楽室もね。

骨格標本:ブラックじゃんこの職場!

花子:文句言わないの。はいモップ持って。

骨格標本:はいはい……って、俺ずっと働いてない?

花子:気のせいよ。

【SE:再びモップがけの音/フェードアウト】