【登場人物】
・花子さん:ミーハー気質、ノリ重視
・音楽室の肖像画:プライド高め、芸術至上主義

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【SE:放課後の音楽室/静かな空間/時計の針の音】

花子:ねぇねぇ、最近さ。

肖像画:……なんだ。

花子:心霊写真、流行ってるらしいわよ。

肖像画:ほう。

花子:スマホで撮って、「なんか写ってる!」ってSNSに上げるの。

肖像画:軽薄だな。

花子:でもバズるのよ?

肖像画:バズる、か……。

【少し間】

肖像画:……で?

花子:え?

肖像画:君は、写りたいのか?

花子:そりゃ写りたいでしょ!
   せっかく存在してるんだし!

肖像画:動機が俗だな。

花子:いいじゃない別に!
   そっちはどうなのよ?

肖像画:私は“作品として”写りたい。

花子:作品?

肖像画:構図、光、陰影……すべてが調和した一枚。
     見る者に“違和感”ではなく“完成度”を感じさせる。

花子:あ〜めんどくさいタイプだ。

肖像画:芸術だと言え。

花子:心霊写真に芸術求めてどうすんのよ。

肖像画:中途半端が一番よくない。

花子:私はとりあえず写ればいい派!

肖像画:だから君は雑なんだ。

花子:雑じゃない、柔軟なの!

【SE:遠くから足音】

花子:あ、来た来た!

肖像画:……来るな。

花子:チャンスじゃない!

【SE:ガラッと音楽室のドア】

女子生徒の声:ねぇここ、出るらしいよ。

別の声:え〜ほんとに?

女子生徒:写真撮ってみよ!

【SE:スマホのカメラ起動音】

花子:(小声)どうする!?どうする!?

肖像画:(小声)落ち着け。まず光源を——

花子:(小声)そんな時間ないって!

肖像画:(小声)ではせめて角度を——

花子:(小声)もう撮るって!

【SE:シャッター音】

【一瞬の静寂】

女子生徒:……え、なんか写ってない?

別の声:うそ、どこどこ!?

女子生徒:ほらここ、なんか白いの!

別の声:きゃー!やばいって!

【SE:バタバタと走り去る音】

【静寂】

花子:……よしっ!

肖像画:……今のは、なんだ。

花子:え?

肖像画:あの白い“もや”のようなもの。

花子:あ、それ私。

肖像画:君か。

花子:とりあえず端っこにフワッて出といた!

肖像画:……雑だな。

花子:写ったでしょ?

肖像画:私は?

花子:え?

肖像画:私は写っていたか?

花子:……たぶん写ってない。

肖像画:なぜだ。

花子:動かないし、ただの絵だし。

肖像画:ただの絵ではない!!

【少し間】

肖像画:完璧な構図を用意していたのに……

花子:準備してたの!?

肖像画:当然だ。あのピアノとの配置、窓からの光、
     すべて計算済みだった。

花子:いや誰もそこ見てないって。

肖像画:なぜだ!!

花子:心霊写真にそこまで求めてないのよ!

【SE:スマホの通知音(遠く)】

女子生徒の声(遠く):やば、もういいねついてる!

別の声:はやっ!

花子:あ、もう上げてる。

肖像画:見せろ。

花子:えっと……これね。

【少し間】

肖像画:……なんだこの構図は。

花子:ほらここ、私いるでしょ?

肖像画:ピンボケではないか。

花子:え。

肖像画:しかも指が少し写り込んでいる。
     フレーミングも雑だ。

花子:うそでしょ。

肖像画:だが——

花子:だが?

肖像画:いいねの数は……多いな。

花子:でしょ!?

肖像画:……解せぬ。

花子:世の中そんなもんよ!

肖像画:芸術とは……。

【少し間】

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【オチ後】

肖像画:……次は、私も写る。

花子:お、やる気出た?

肖像画:完璧な一枚で、評価を覆す。

花子:いいじゃない。じゃあ次もチャンス待ちね。

【SE:遠くで足音】

女子生徒の声:さっきの、もう一回撮ろうよ!

花子:来た!

肖像画:よし……今度こそ——

【SE:シャッター音】

【間】

女子生徒の声:……あれ?今度なにも写ってなくない?

別の声:さっきの方がよかったね〜。

【足音去る】

【静寂】

花子:……ねぇ。

肖像画:……なんだ。

花子:完璧すぎて、逆に気づかれなかったんじゃない?

肖像画:……それはそれで、腹立たしいな。

【フェードアウト】

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